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コラム
CFOのススメ
2020-05-26
CFOは何の略称?
CFOとは「Chief Financial Officer」の略称で、日本語では「最高財務責任者」と言い換えられます。漢字でそのまま考えてみると、財務領域の最高の責任者、となるので、財務経理部のトップというイメージをお持ちの方が多いと思います。しかし「Chief Financial Officer」の「Financial」は日本語では「財務の、金融の」という訳がつくので、「最高財務責任者」をそのまま受け取ってしまうと「金融」の部分が抜けてしまいます。ここにあるべきCFOの役割とこれまでのCFO業務にズレが生じています。それでは今企業が必要とするCFOには、どのような力が必要なのでしょうか。
従来のCFO(最高「財務」責任者)の業務内容
まずはこれまでの日本企業の財務経理部の業務内容をざっと思いつく限り書き出してみました。
- ・経費精算や小口の管理等の現金の出納管理(経費精算)
- ・預金口座の管理
- ・帳簿や伝票などの作成や管理(システム等を使って)
- ・取引先の信用分析(与信管理や入金管理)
- ・月次の締め作業
- ・月次決算書等の作成
- ・予算と実績の差異分析
- ・給与計算
- ・買掛金、売掛金の管理(潰しこみ等)
- ・決算業務(上場企業であれば、決算短信や有価証券報告書作成等の開示業務含む)
- ・(上場会社であれば)各種引当金や繰延税金資産等の会計上の見積りに係る検討業務
- ・連結決算業務
- ・法人税等の申告
- ・納税
- ・年末調整
- ・償却資産の申告
- ・銀行借入業務(銀行との交渉を含む)
- ・資金繰り表の作成業務
- ・(上場企業であれば)内部統制関連業務
もう少しあるような気もしますが、いったんこのくらいでしょうか。
いわゆる一般的な経理部、財部部の業務内容となっています。
これからのCFOに求められる能力はエクイティファイナンス
これまでの日本企業のCFOは上記の業務を行っていれば問題がありませんでした。しかしこの業務の中で「金融」の重要な一部が抜けてます。すなわち「エクイティ(=株式)ファイナンス業務」です。
これまでの日本企業は銀行中心の間接金融が主体だったので銀行と仲良くしていれば資金繰りに特段問題が生じませんでした。しかし昨今の日本では資金調達方法も多様化し、直接株式市場から資金調達をする直接金融が活用されそのスキームも多様化しています。
拡大するCFOの管掌業務領域
また役員や従業員のインセンティブ報酬としてエクイティが活用されます。そのため現在は、CFOはエクイティファイナンスに関する知識や経験が強く求められる時代となりました。またエクイティに関連する業務として、M&A業務も含まれてくるでしょう。M&Aでは会計・税務・ファイナンスのみならず会社法や金融商品取引法等の広範な知識が必要となります。通常、企業がM&Aを実施する場合はM&Aアドバイザー、弁護士、会計士等の専門家を使って進めていくため、基本的にはそれら専門家に任せることになりますが、彼らから上がってくる情報を理解して判断するのは会社であり、CFOやCEOとなります。そのためCFOにはこれらの(広く浅くでもいいので)知識経験があればより望ましいと思われます。
加えてどの企業も中期経営計画を中心とした成長戦略を策定し株主に説明することが求められます。中期経営計画を策定するためには、その企業が活動している業界分析や業界内での競合分析を実施した上で、自社の戦略を「定量化」する作業が必要となります。このような「戦略を定量化する役割」もCFOに求められています。
まとめ CFOには、経理財務業務に加え、エクイエティファイナンス業務が期待されている
このようにCFOはいわゆる経理財務業務に加え、エクイティファイナンス業務(+M&A業務)や戦略策定業務等、多岐に渡る役割を期待されます。中にはIRや人事・総務業務までCFOが管轄する会社もあります。厳しい経済環境の中で企業を維持・成長していくためにCFOに期待される役割は今後さらに拡大していくでしょう。CFOは非常に厳しくもやりがいのある業務です。皆さんも、是非「経理財務×ファイナンス×戦略」人材となり、CFOにチャレンジしてもらいたいと思います。
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